情報科学屋さんを目指す人のメモ(FC2ブログ版)

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分かりやすい学会発表をするために意識したい21のポイント このエントリーを含むはてなブックマーク

卒論の季節ですね。今回は、私が卒論発表してからの2年弱(研究室個人ページ)の間に発表について考察したことを「分かりやすい学会発表をするために意識したい21のポイント」として簡単にまとめました。

タイトルを「プレゼン」ではなく、「学会発表」にしたのですが、 これは、発表に問題提起や提案手法が含まれていることを前提にしたいからです。 そして、「発表がうまいね」や「すごーい」ではなく、「分かりやすかった」と言われることを目指します

私が個人的に意識していることなので、「この人はこう考えているらしい、自分の発表にも取り入れられないかな」と考えてみてもらえれば幸いです。

分かりやすい学会発表をするために一番大切なこと

分かりやすい学会発表をするために一番大切なことは、同じ感覚を共有しながら聞いてもらうことだと思っています。

どういうことかというと、発表者はスライドを作るとき、必ず頭の中にあるたくさんの前提を通してスライドを見ています。簡単に言えば、同じスライドでも、発表者とそれ以外の人では見え方が本質的に違うわけです。

この違いを埋めることをこのエントリでは「同じ感覚を共有する」と言うことにします。 そして、 この「同じ感覚の共有」が発表時間中ずっと行われていたとき、「分かりやすかった」という感想が得られるのではないかと考えています。

同じ感覚を共有するために

発表中に、「うんうん」「そうそう」と、相づちをずっと打ち続けている聞き手を想像してください。 これが「同じ感覚を共有できている状態」です。

この「同じ感覚を共有しながら聞いてもらえている」ときこそ、「発表で伝えたいこと」が聞き手に最大限吸収される状態だと思います。 一方で、「あれ?」や「そうなのかなぁ」というような疑問を持たれてしまえば、説得力は失われていきます。

では、「同じ感覚を共有しながら」聞いてもらうにはどうすればよいか。この感覚の共有を実現するために欠かせない要素が「発表のストーリー」だと考えています。

発表のストーリーを活かすために

ここからは、 その「ストーリー」を活かした発表を組み立てるためのポイントに絞ってチェックリストを書いていきます。もう一度言います、ストーリーという骨格のことに絞って書きます。もっと細かいことはいつの日か。

「そんなストーリー意識したことないよ?」と思うかもしれませんが、 今まで意識したことがなくても、ここで紹介するポイントを反映して改善を重ねることで、より伝わる発表に変えていくことができるはずです。

もくじ

同じ感覚を共有できる発表ストーリーを作るためのチェックリスト20。

【1】この発表で何を伝えたいかイメージできていますか

ストーリーを組み立てるとき、「何を伝えたいか」は最も重要な要素です。 なぜなら、共感も何も、ストーリーの中に「伝えたいこと」を埋め込まなければ始まらないからです。

発表の目標のようなものです。ただし、1つの大きな目標ではなく、要所要所の小さな目標の集まりをイメージしてください。 たとえば、「問題意識を伝えたい」「提案手法のエッセンスを伝えたい」「提案手法の素晴らしさを伝えたい」を、より具体化したものがその目標の代表例です。

たとえば私の研究内容だと、「提案手法のすばらしさを伝えたい」に分類できるものとして「経路表の順序関係に注目したことを知って欲しい」「ノード数が少なくても効率がよいことを知って欲しい」などという小さな目標がたくさんあります。

とりあえず目標が何かはともかく、「この発表で伝えたいことは何ですか?」と聞かれて、「これと、これと…」のように抽出できるかどうかをチェックしてみてください。即答できる必要は無いのですが、これがあやふやだと、聞き手が積極的に頑張ってくれない限り「それで?」で終わってしまうでしょう。

【2】そもそも、ストーリーの無い、項目の列挙になっていませんか

発表、とくに研究発表では、定番の順番があります。たとえば、「背景→問題提起→研究目的→既存手法→提案手法→実験→考察→まとめ」です。しかし、"ただ単に"これらの項目を順番に並べただけでは魅力的なストーリーどころか、ストーリーとして成立しません

話す項目を決めて、(依存関係的に)話しやすい順番に並べただけになっていませんか。発表のあらすじを説明することをイメージしてください。そのときに、「○○を説明してから○○を説明して、その次に○○を説明して…」のように、あらすじが単なる説明順になっている場合、ストーリーが無くなってしまっているかもしれません。

ここ以降のチェックを潰していけば、ストーリー作りの要点はつかめると思います。そのストーリー作りで最も大切なことが、次にチェックする問題意識の提示です。

【3】序盤で問題意識を提示していますか

研究発表の場合、間違いなく問題意識が存在するはずなのですが、問題提起がいつまで経っても現れない発表があります。提案手法の説明が終わってから、「○○という問題があって、それを解決できています」なんて構成になっていませんか

これから徐々に説明していきますが、最低一つの問題は序盤で提示してください。解決する問題が多岐にわたる場合、すべてを序盤に持ってこない方がよい場合もありますが、問題意識を提示しない発表はもってのほかです。

【4】その説明で問題意識に共感してもらえそうですか

発表全体にわたって発表者の聞き手が同じ感覚を共有したいわけですが、ここで一番大切なのが問題意識に対する共感です。

それは、問題意識に共感してもらえればもらえるほど、発表全体をしっかりと聞いてもらえるからです。 聞き手は、有意義な発表内容(研究)かどうかを、問題意識を聞いた時点で判断してしまっていると私は考えています。

ここで「あれ?」と少しでも思われてしまえば、この後がどんなに良くてもしっかりと聞いてもらえないでしょう。問題意識の説明は、当然問題であると感じてもらえるようになっていることが理想で、実際にそうなっているかをチェックしてみてください。「そうだね」「なるほど」と素直に思ってもらえそうでしょうか。

ポイントは前提条件や価値観の共有です。当然問題であると思ってもらえるように、必要な前提条件は丁寧に補ってください。

繰り返しになりますが、問題意識の導入というイントロダクションが発表全体で最も重要です。そして、分かりやすい発表を作るために最も力を注ぐべきポイントです。「それは必要な視点だ!」と思わせるのです。

【5】前提条件をはっきりと共有しましたか

発表対象の前提となっている条件をはっきりと伝えておかなければ、 発表者にとって滑らかなストーリーであっても、 聞き手にとって違和感のあるストーリーになってしまいます。

そして、前提条件はできるだけ早く、そしてその前提条件の対象をはっきりさせて共有するべきです

まず、できるだけ早くすべきなのは、あまりに遅く前提条件を追加すると、聞き手が今までの情報と追加された前提条件をくっつけようとするあまり、無意識のうちにストーリーをさかのぼってしまう可能性があるからです。

また、対象をはっきりさせるというのは、たとえば「従来手法はこういう前提条件の下でしかうまく動作しないが、提案手法ではこういう前提条件でなくても動作する」というメッセージを伝えたい場合は、「従来手法では」や「提案手法では」という対象の指定が欠かせないからです。

その一方で、発表全体が対象となる前提条件についても「今回の発表では」のようにはっきり言うべきかもしれない、ということを意識してください。

【6】提案手法に入る前に、提案手法が何を解決するかを共有できていますか

問題点を示しただけで満足していませんか、提案手法が実際に何を解決するのかが伝わっていますか。提案手法が何を解決するために設計されたのかを共有することで、ストーリーは大きく安定します。

なぜなら、聞き手は自然とその「これから解決するもの」という話のゴールを意識してくれて、提案手法の説明が多少分からなくなってしまったとしても、ストーリーから外れずに聞き続けてもらえるからです。

また、提案手法は特に理解してもらうことが難しいところですが、たとえ理解してもらえなかったとしても、話のゴールさえ理解してもらっていれば、なんとかそのゴール地点からストーリーに合流できるわけです。

聞き手にとって提案手法の詳細がブラックボックスになってしまったとしても、 他の部分のストーリーがばっちりなら、研究の説明としてはかなり高得点なのではないかと思います。 「どんな提案手法か」が分かってもらえずとも、「どんな研究か」は、提案手法の理解なしでも分かってもらえるのです。

【7】提案手法のキーアイディアを提示していますか

「何を解決するのか」だけでなく「キーアイディア」を示しておくことも重要です。 提案手法のキーアイディアを発表中に提示できていますか、そもそも提案手法のキーアイディアが何であるか意識したことがありますか

後のチェックポイントに、「次に話す内容の概略・要約を示すことが重要だ」というものがあるのですが、キーアイディアは、提案手法の要約として作用します。

そして、キーアイディアを直前に示すことで、「キーアイディアがどう使われ、どのように問題を解決するか」という部分的なストーリー構造を聞き手が自然と意識することができ、提案手法の説明をスムーズに理解してもらえるという効果もあります。

【8】提案手法を解説するだけの発表になっていませんか

ストーリーを理解してもらうことが第一で、ストーリーの理解なしに、聞き手は提案手法を「わかった!」という感覚にはなってくれません。提案手法の説明は、「わかった!」に向かっていくように設計してください

ポイントは、ストーリーの中に提案手法がぴったりハマったときはじめて、「わかった!」という感覚になってくれるということです。 ぴったりハマったかどうかが大切で、どれだけ提案手法の詳細を把握してもらえたとしてもあまり嬉しくありません。ぴったりハマったところまで説明できれば、あとは論文を読んでもらえばよいのです。

時間に余裕があるからと言って、"無計画に"提案手法に時間を割かないでください。ストーリーが見えなくなる可能性が高いです。時間の余裕はストーリーの厚みを増やすために使ってください。ストーリーにぴったりハマる感覚の大小は、どれだけ詳細まで提案手法を把握したかにはほとんど影響されず、ストーリーの良さに依存します。

【9】提案手法のメリットをメリットとして認識してもらえそうですか

提案手法がどんな問題を解決するかとはまた別のメリットを主張することは良くあります。 しかし、発表者がメリットだと思って言ったことが、聞き手にとってメリットであるか判断できない場合がよくあります。どうしてそれがメリットなのかを共有できていますか。 メリットに疑問を持たれると、せっかく築いてきたここまでの共感が切断されてしまいます。

メリットを言うまでに前提知識が揃っていればよいですが、場当たり的であっても「どうしてメリットなのか」をメリットに添えてあげるととても提案手法が引き立ちます。また、そのメリットがストーリーと大きく異なり説明が難しい場合は、「こんなメリットもあります」程度に抑えておくべきです。

【10】提案手法と既存手法を混同されませんか

自分の提案がどこからどこまでなのか、既存手法とはっきり区別できるようになっているかチェックしてください

自分の提案とそれ以外の部分との境界が不明確な場合、「どこが既存手法でどこが提案手法だか分からなかった」という事態にすぐ陥ります。これは致命的な割によく見かけるパターンです。

簡単な対策が無いわけではなく、たとえば、既存手法のあとに「ここからが提案手法です」と一呼吸入れればよいわけです。

【11】事実と主張を分離できていますか

どこからどこまでが「事実の紹介」で、どこからどこまでが「自分の主張」であるかをはっきりと分離できていますか。これは聞き手を混乱させない意味ももちろんありますが、自分の主張の説得力を高めるためにも意識したいポイントです。

たとえば、「問題意識」と「事実」をうまく分離して話すと共感してもらいやすくなります。

なぜかというと、「問題意識」から「事実」を分離できていない場合、すべてが発表者の考えたことに聞こえ、共感してもらわないといけない範囲(疑われる範囲)が広くなってしまうからです。

これに対し、「事実」をうまく分離できていると、「事実」として示した部分は「そうなのね」と納得してくれて、その「事実」が証拠として作用し、「問題意識」という主張の後ろだてになってくれるのです。

つまり、「○○という事実があります、これに対して、私は△△を改善しなくてはならないと考えています」といった構成が大切です。今の「これに対して」以降を信じるかについて聴衆は考える余地がありますが、その参考になるのは前半の「事実」であり、「事実」から導け問題意識を言っている限り、かなり共感してもらいやすくなります。

また別の側面として、主張を述べるときは「このことから○○であると言えます」ではなく、 「このことから私は○○であると考えています」のように主張であることを明示することで、ストーリーの要点が強調され、さらっと流されてしまうことを防ぐ効果もあります。伝えたいところは強調しましょう。明確な事実を「考えています」にするのは良くないので注意

この、「どこが自分の主張か」を意識することはいろいろな場面で役に立ちます。常に意識するように心がけてください。

【12】ストーリーの区切りにおいて、前後の関係を伝えていますか

このチェックは、「発表者の説明」と、「聞き手の聞く準備」との不一致を避けることを目的にしています。 この不一致をなくす努力は聴衆をストーリーに巻き込むために欠かせないものです。

そして、この不一致をなくすためには、とにかくストーリーの転換する場面で「ここまでこういう話だったけど、ここからはこういう話をするよ」というストーリーの説明と前後の関係をはっきりと挟むことが一番効果的です。ちゃんとストーリーの区切りと前後関係を明示できていますか。

たとえば、「次は○○についてです」は最悪です。ここまでの話に対してどういう関係があるかがわからず、聞いている側は「○○」の内容を聞くまでストーリーが頭に入ってきません。

ですから、「ここまでは△△について話しました。これを利用してどう○○するのかを次に説明します」くらいは最低限言及しておきたいところです。このように、前後の関係がはっきりさせて初めて、聞き手に「○○」を聞く準備が整うわけです

今の例から分かるように、前後の「後」に関する要約・概要なしには前後関係を説明できません。本当に短くて良いので、要約・概要を与えてから話を進めましょう。

【13】ストーリーは当たり前の知識でつながっていますか

ストーリーというと大きな流れに意識が向かいがちですが、 意外なことに、大きな流れより、「○○ならば△△」や「○○。つまり、△△」、「○○。しかし、△△」のような、一文と一文との小さな流れのほうが共感を生むためには重要だと考えています

なぜかというと、「なるほど」という納得の瞬間は結局、どこかの「一文」と「一文」のつながりに存在するからです。

このような2、3文の小さな流れは、新しく発表中に追加した前提知識が必要ないほど当たり前の知識でつなぐことを目指してください。ただ、必ずしも「当たり前」でないといけないわけではなく、常に「本当?」と疑問を持たれないつなげ方を意識することが大切だと思います。

なのでここでは、「ならば」や「つまり」のような文と文の間の論理的なつながりに違和感をもたれないか、意地悪な目でチェックしてみてください。一つ一つ「ほんと?」と自問自答してみてください。そして、違和感があった場合は、より素直に納得できるつながりを考え、滑らかなストーリーを目指してください。

【14】ストーリーに合わせて背景や前提知識の説明をアレンジしましたか

背景や前提知識の説明を使い回しせず、発表のストーリーに合わせてアレンジしましたか

これがうまくできていないと、背景や前提知識の説明の部分に違和感が発生してしまいます。せっかくの問題意識に対する共感や話の流れが損なわれて(忘れられて)しまいます。 ここでも意識すべきはストーリーの流れをスムーズにすることなのです

たとえば、提案手法を説明する前に、有名な既存手法を説明する場面を考えてみましょう。 発表者はきっと論文だけではなく、その有名な既存手法の説明をどこかで見聞きしていることでしょう。

ただし、その説明をまるごと持ってきてはいけません。かならずストーリーに合わせてアレンジすることを忘れないでください。つまり、今回の物語に必要が無くてかつ、既存手法の説明自体に必須でない部分は、余計なこととして削除してください。たとえ有名な性質や、おきまりの説明であっても、です。

そして、定番の説明には出てこない事項であっても、提案手法との違いが現れる部分はかならず触れておきましょう(詳細は提案手法に入ってからもう一度説明してもよいかもしれません)。このように、物語に合わせて追加したり削除したりを丁寧に行うことで、見通しの良い、メリハリのある説明を行うことができます。

【15】話す内容とスライドの内容が一致していますか

私が聞く側の時は、しっかりスライドを読みながらしっかり話の内容を聞く、ということを同時にはできません。 どうしてもどちらかに偏ってしまいます。これが普通だと思います。

では、話す側はどう工夫するべきかというと、 特定の話をしているときに、目線の行って欲しいところを明確にするということです。 つまり、台詞ごとにどこを見ていてもらいたいか(スライドだけでなく、話して自身を見てもらいたい場合もある)を設計するわけです。

こう言うと難しいのですが、もっとシンプルには、話す内容に対応するスライドの内容を意識するということになります。つまりチェックすべきことは、話す内容に関係のないものをスライドに配置していませんか、ということです。

もし、その関係のない図や文字に目が行ってしまった聞き手は、もうその時点でストーリーから外れてしまったことになります。そんな罠をスライドに仕込むメリットはありません。ストーリーは「話」と「スライド」で違いなく組み立ててください。 ここを突き詰めると、私がいつも作るスライドの形式になります。

【16】図について、どこまで理解して欲しい図なのか説明していますか

図は、スライドを華やかにし、直感に訴えかけるサポートをしてくれます。 しかし、一つの図であってもその解釈は様々であり、何を読み取って欲しいかを必ず誘導してあげてください

仮に、なんとなく図を設置したとしましょう。 スライドを進めてその図が表示された瞬間、設置した理由に関わらず聞き手は解釈を開始してしまいます。グラフなら、縦軸や横軸をチェックし始めるかもしれません。しかし、発表者は縦軸横軸はあまり重要でないと考えているかもしれません。この不一致はとても怖いです。ストーリーから完全に脱線し始める聞き手が続出します

さらに悪いことに、「聞き手が気になったのに、発表者が説明しなかった部分」を残したまま次のスライドに行ってしまうと、不信感が増します。本来、解釈しなくても良い図はほとんど載せるべきではありません(ストーリーに必要のないキャッチーな図がストーリーより優先されることはありません)。

【17】説明する実験はよく吟味しましたか

提案手法を用いた実験は、この発表で主張したいことの裏付けとして引用するものです。

つまり、何のためにわざわざこの実験結果を紹介するのかを自問自答しながら、極力実験を載せない方針で考えを進めてください。決して載せる実験を先に決めて、その説明を言えばよいというものではありません。

目的のはっきりとしない実験の紹介は、ストーリーをゴール直前であやふやにしてしまいます。

【18】実験目的を共有しましたか

しっかりと目的意識を持ち、説明する実験を吟味したら、発表にもその目的を明示してあげてください。

「キーアイディア」の明示の時に話したことと同様に、 実験目的をしっかりと共有することで、実験内容の部分的なストーリーを意識して聞いてもらえて、理解が進むからです

とりあえず実験内容と実験結果を紹介して、実験から分かったことを後からまとめるだけでは、実験内容や実験結果の説明をしっかりと理解してもらうハードルを自分でわざわざあげてしまうだけです。

【19】実験目的と実験内容の対応は明白ですか

しっかりと実験目的の共有とは別に、その実験目的に対してどうしてこの実験なのかを納得してもらえるように説明する努力をしてください

実験目的はだいたい複数あり、実験結果も複数出てきます。実験目的と実験結果の対応付けを意識し、特定の実験結果からどの実験目的が達成されたのかがわかるように構成しましょう。「この実験結果から○○であることがわかります」がもっとも重要であって、グラフの読み方を必要以上に説明しても仕方ありません(目的達成がわかる分は必要です)。

提案手法の説明と同様、実験結果の詳細が分からずストーリーから脱落しそうになっても、目的というゴールの提示と、確かにゴールに到達したことさえアピールできれば、またストーリーに復帰してもらえます。

【20】まとめはストーリーの要約になっていますか

まとめは伝えたかったところを並べる場かもしれません。 ただ、その伝えたかったことをどのようなストーリーで発表したかを含め、 「背景」「問題意識」「提案手法」「実験から分かったこと」がどのような関係にあったかをおさらいすることによって、聞き手の納得が深まります。

【21】一つの発表で聞き手全員に発表全体を理解してもらおうと無理していませんか

一回の発表で、いろいろなタイプの聞き手に発表全体を理解してもらおうとすると、「同じ感覚の共有」がどうしても弱くなります。

それはどうしてかというと、同じ感覚を共有するというのは、聞き手の感覚を自分の感覚に近づけることだからです。つまり、聞き手元来の感覚に応じて、自分の感覚とのミゾが異なり、感覚の近づけ方も変わってくるということです。

発表相手に応じて、同じ提案であったとしても、適切なストーリーは様々です。発表会場に応じてストーリーの変更を欠かさないでください。そしてそれは同時に、どんな人にわかってほしいかを意識することにもなります。「全員にわかってほしい」は難しいです。「全員に分かって欲しい部分」と「こんな背景の人に分かって欲しい部分」をしっかり意識して発表を組み立ててください。

書いた感想

スライドの"ページの"作り方まで考え始めるとまだまだわらわら出てきそうです。要素の関係を明示するとか、言葉同士の対比をはっきりさせるだとか…。ただ、本当に重要なのは発表のストーリーです。各スライドの配色やら見出しやら文字の書き方はずっと優先度が低いことです(最低ラインは越えて欲しいが)。そして、そういう内容はたくさんWeb上にあふれているので、わざわざ書かなくても、という感じです。

ストーリーに絞ってもまだまだ書けそうですが、きりが良いので20個でやめておきます気がついたら21個でした。本当にストーリーが大事です。同じ感覚が共有できるように何度も何度もストーリーを組み直し、発表練習を繰り返してください。

本当は発表スライドの作り方を書いた方がよいのでしょうが、それこそ壮大なので、うまく類推して作ってみてください。ちなみに今回は、自分のスライドと、過去の研究室の学生の発表資料を分析しながら普段意識していることを書きました。この観点からは、発表練習での意見の出し方、なんてのも気にかかりますね。もちろんストーリーに口を出すことが第一です。

最後にもう一度書いておきますが、良い「プレゼン」の方法について書いたつもりはありません。いい"学会"発表がしてもらいたいだけです。分かりやすい"学会"発表を聞きたいだけです。そして、自分も分かりやすい学会発表をたくさんできるようにこれからも精進していきたいと思います。

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